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クラフトジンボタニカルの世界へようこそ

クラフトジンの本質を見極められるようになるにはボタニカルの世界を理解することが大切です。ジンはボタニカルの力を生かして作られている蒸留酒で、他のハードリカーとはまったく異なる性質があります。クラフトジンはその特色を最大限に引き出している職人芸のジンです。この記事ではボタニカルの意味と、ジン・クラフトジンに使われているボタニカルを紹介します。 

クラフトジンの命はボタニカル

ボタニカル

クラフトジンが従来のジンと違うのはボタニカルに対するこだわりがまったく異なるからです。ボタニカルの世界を知るとクラフトジンの魅力が一気に広がります。クラフトジンの命とも言えるボタニカルの基礎をまず知っておきましょう。

ジンのボタニカルとは?

ジンの製造ではベースのスピリッツに対してボタニカルを使ってフレーバーを付けます。ボタニカル(botanical)とは英語で「植物由来のもの」という意味です。ハーブやスパイス、果物などのさまざまなボタニカルがジンの製造に活用されています。植物由来でなければ使ってはならないというルールは日本にはありませんが、海外では厳密に規定されている場合もあります。そのため、ジンと言えば植物由来のボタニカルを使うというのが世界標準です。

クラフトジンはボタニカルの組み合わせが独創的

クラフトジンは17世紀来のクラシカルなジンのボタニカルにこだわらず、独創的なアイディアでボタニカルを選び、組み合わせているのが特徴です。ジンの製造で王道として使われているボタニカルも使用している場合が多いですが、まったく異なる地元素材を使用するなど、創意工夫をして香りを作り上げているのがクラフトジンの特徴です。

例えば沖縄には、シークヮーサーで爽やかに仕上げたご当地クラフトジンが存在します。お茶どころとして有名な地方なら、日本茶の風味を感じる不思議な味わいのクラフトジンを味わえるかもしれません。

中には「こんな食材がジンに合うの?」と驚かされるボタニカルを使う造り手もいます。例えば北海道には、ご当地食材として人気の日高昆布を使ったクラフトジンがあります。

メジャーなハーブやフルーツ、マイナーな食材まで、さまざまなボタニカルを使ったクラフトジンを試飲し、その味わいの違いを楽しんでみましょう。

ジンもクラフトジンも基本はジュニパーベリー

ジュニパーベリー

昔ながらのジンもクラフトジンもボタニカルはジュニパーベリーが基本になっているのは同じです。

ジュニパーベリーには木材を思わせるウッディな香りと、薬草のような香りが共存しています。外側の皮の部分には甘みありますが、噛んだときには少し苦味があり、そのバランス感が魅力的なボタニカルといえます。ハーブティーなどにも使われるジュニパーベリーには、デトックスやむくみ解消の効果が期待できます。

どんなクラフトジンにも、このジュニパーベリーのボタニカルが必ず使われています。ジュニパーベリーはいわば、ジンを象徴するボタニカルなのです。

ジンによく使用されているボタニカル24選

クラフトジンの「薬草・香草」系ボタニカル

ここからは、クラフトジンによく使われるボタニカルについて解説していきます。まずは、薬草や香草に分類されるボタニカルをチェックしていきましょう。

オリスルート

アヤメ

オリスルートとはアヤメ科の植物で、地下茎を乾燥させたものを粉末状にしたものをクラフトジンの原料に使います。

オリスルートにはフローラルかつウッディな香りがあり、ほかのボタニカルとの相性がいいのが特徴的です。

リコリス

リコリス

リコリスとはマメ科の植物で、「甘草」と呼ばれ漢方薬に使われることもあります。リコリスのボタニカルは多くの場合、リコリスルートと呼ばれる根っこの部分を粉末状にして使います。

リコリスの大きな特徴はその強い甘みにあります。天然の甘味成分として知られるグリチルリチンをたっぷりと含むリコリスには、ショ糖の約150倍もの甘さがあるといわれています。

リコリスは、クラフトジンに華やかな甘みをプラスしたいときによく使われる人気のボタニカルです。

アンジェリカ

アンジェリカルート

アンジェリカを使ってクラフトジンを作るメーカーはかなり多いものです。アンジェリカとはセリ科の植物のことで、セイヨウトウキとも呼ばれます。多くの場合、その根っこを乾燥させたアンジェリカルートをボタニカルとして使います。

アンジェリカルートには少しウッディな香りや土のような香りがあります。味わいはほろ苦くドライなイメージです。

また、アンジェリカの種であるアンジェリカシードをクラフトジン製造に使うこともあります。アンジェリカシードはアンジェリカルートに比べてやや甘みがあり、フローラルな香りに仕上がります。

フェンネル

フェンネル

フェンネルはウイキョウと呼ばれるセリ科の植物で、クラフトジン以外ではスープや肉料理、魚料理の香辛料として使われます。ほのかに青臭さのあるスパイシーな香り、クラフトジンに独特の風合いをプラスしてくれます。

アニスシード

アニスシード

アニスシードは肉料理などでは食材の臭み消しに使われることもあるハーブで、フェンネルによく似た香りがします。アニスシードを使ったクラフトジンには、エスニック料理をイメージさせる独特な香りが漂います。

キャラウエイ

キャラウエイ

キャラウエイとはヒメウイキョウと呼ばれるセリ科の植物のことで、多くの場合その種をボタニカルとして使います。キャラウエイシードは小さな三日月型をしており、香りには甘みがあるものの味わいはほろ苦いのが特徴です。

カモミール

カモミール

カモミールはハーブティーにもよく使われるボタニカルです。キク科の一年草であるカモミールには、フルーツのような甘く爽やかな風味があります。

タイム

タイム

タイムはハーブティーのほか、煮込み料理や香草焼きなどにも使われるハーブです。特有の爽快感ある香りはクラフトジンに爽やかな変化をもたらしてくれます。

ラベンダー

ラベンダー

ラベンダーならではの甘く華やかな香りを好む方は多いと思います。北海道のご当地クラフトジンには、ラベンダーをボタニカルとしてふんだんに使ったアイテムがあります。

いい香りに包まれながらアロマテラピーのような気分で飲めるのが、ラベンダーを使ったクラフトジンの良さです。

クラフトジンの「フルーツ」系ボタニカル

フルーツのボタニカルをクラフトジンに加えれば、みずみずしい爽やかな風味を演出できます。ここからは、クラフトジンに使われるフルーツ系ボタニカルをチェックしていきましょう。

レモンピール

レモンピール

レモンピールとはレモンの皮のことで、シトラスと呼ばれることもあります。

酸味のあるフレッシュな香りをもつレモンピールはクラフトジンとの相性が抜群です。また、レモンピールにはほのかな苦味もあり、クラフトジンの風味をギュッと引き締めてくれる効果が期待できます。

オレンジピール

オレンジピール

オレンジピールはレモンピールに少し似た風味があるボタニカルです。オレンジピールをふんだんに使ったクラフトジンにはフルーティーな香りが漂います。オレンジピールならではの軽い苦味と甘い香りは多くの人を魅了します。

グレープフルーツピール

グレープフルーツピール

オレンジやレモンではなく、グレープフルーツの皮をボタニカルとして使う例もあります。グレープフルーツを使ったクラフトジンは、軽やかながらほろ苦さのある独特の風味に仕上がります。

ゆず

ゆず

日本国内の蒸留所は、日本製造のクラフトジンであることをアピールするためにゆずを使うことがあります。

ゆずにはレモンやオレンジとは少し異なる独特の風味があります。まろやかな甘味と爽やかな酸味のバランスを楽しみたいのなら、ゆずをボタニカルとして使ったオリジナルのクラフトジンを試してみましょう。

クラフトジンの「スパイス」系ボタニカル

続いて、スパイスに分類されるボタニカルを紹介してきます。スパイスというとカレーなどのインド料理、エスニック料理などによく使われるイメージがありますが、実はクラフトジンとの相性も悪くはありません。

カルダモン

カルダモン

カルダモンとはショウガ科の植物から作る香辛料のことで、カレーや肉料理にもよく使われます。

「スパイスの女王」と呼ばれるカルダモンには鋭くスパイシーな香りがあります。クラフトジンにカルダモンのボタニカルを使うと、キリッと引き締まるようなスパイシーな香りや味わいに仕上がります。

ジンジャー

ジンジャー

ジンジャーはいわゆる生姜のことで、クラフトジンにピリッとしたスパイシーな風味をプラスしてくれます。

生姜を使ったドリンクというと多くの方がジンジャーエールを思い浮かべると思います。ジンジャーを加えたクラフトジンは、ジンジャーエールとよく似たイメージのキレ感のある味わいに仕上がります。

シナモン

シナモン

シナモンとはニッケイ属の樹木の内側部分から収穫できる香辛料です。パウダー状にするほか、樹皮を細長く巻いてそのまま使うこともあります。

シナモンにはほかのスパイスとは異なる独特の風味があります。やや甘みを感じられるスパイスで、香り高いのが特徴的です。個性の強いボタニカルなので、ほかのボタニカルとの相性をチェックしながら注意深く使う必要があります。

コリアンダー

コリアンダー

コリアンダーはカレーのスパイスとしても使われる主張の強いボタニカルです。日本国内で「パクチー」または「シャンツァイ(香菜)」として販売されている野菜の種に当たる部分を「コリアンダーシード」と呼びます。

コリアンダーシードは爽やかな風味がありながらほろ苦く、きりりとしたスパイシーな雰囲気もあります。

カッシア

カッシア

カッシアとはシナモンとよく似た雰囲気の香辛料ですが、カッシアには甘みがありません。クラフトジンにスパイシーな風味だけを加えたいときにはあえてシナモンではなくカッシアが使われることがあります。

ナツメグ

ナツメグ

ナツメグはニズニクと呼ばれる木の種から作る香辛料です。スパイシーな中に甘みとほろ苦さが同居する独特なスパイスで、ハーブ系の料理や肉料理、スイーツなどを作るときに使われます。

クラフトジンの「オリジナル」系ボタニカル

クラフトジンには少し変わったボタニカルが使われることがあります。ときには、一味違うボタニカルを使ったオリジナルのクラフトジンを選んでみるのもおすすめです。

緑茶、煎茶

緑茶、煎茶

日本国内で製造されるクラフトジンには、オリジナルの風味をプラスするために煎茶や緑茶が使われることがあります。

煎茶や緑茶を使ったクラフトジンには円熟した香りとほんのりとした苦味があります。

赤紫蘇

赤紫蘇

シソを使った焼酎を好む方は少なくありませんが、クラフトジンにシソを使う蒸留所もあります。シソのクラフトジンは意外と飲みやすく、後味が爽やかです。

日高昆布

日高昆布

北海道で作られているクラフトジンには、北海道産の日高昆布を使ったものがあります。意外とバランス良く仕上がっている日高昆布のクラフトジンは、だし汁で割って飲むという楽しみ方もできます。

クロモジ

クロモジ

日本固有の香木として知られるクロモジの枝や葉をボタニカルとして使ったクラフトジンも注目を集めます。クロモジのクラフトジンは、深みのある森の香りを堪能できる仕上がりになっています。

    まとめ

    ボタニカル

    クラフトジンはボタニカルが命です。何をボタニカルにするか、どのくらいの比率で使用するか、どういう蒸留工程でボタニカルを生かすかといった視点でクラフトジンが生み出されています。ボタニカルの世界に目を向けると、クラフトジンの神髄が見えてくるようになります。

    どんなクラフトジンを購入しようかと迷ったときにはぜひ、使われているボタニカルに着目してみましょう。スペシャルなボタニカルを使ったクラフトジンを選べば、思いがけない味わいに出会えるかもしれません。

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